映画「カーズ2」感想・考察:ド迫力なスパイムービーに隠されたテーマ「ありのままの君でいい」
今回は、ディズニー・ピクサーの「カーズ2」について語っていきたいと思います。
「カーズ2」の主役は、天才レーサーのライトニング・マックィーンではなく、その相棒のメーターです。
今作は「カーズ」シリーズの中でもレースに重きを置いてない物語でありマックィーンの出番も他に比べて少なめだからか?賛否両論が分かれているようですが、私は「カーズ」と同等、いやそれ以上に「カーズ2」が好きと言っても過言ではありません。
それは最強のイケおじスパイカー・フィンマックミサイルが出ているから…というのも大きな理由の一つですが(笑)、ド派手なアクションシーンに加えて大事なテーマも隠されているのでピクサー映画の中でもお気に入りの作品です。
そんな「カーズ2」大肯定派の私が、この作品について色々語っていきたいと思います。
概要
原題/邦題:Cars2/カーズ2
公開日:2011年6月24日(米)/ 2011年7月30日(日)
上映時間:113分
あらすじ
ピストンカップで4連覇を果たしラジエーター・スプリングスに戻って来たマックィーンは、ゆっくり休息しようとしていた。
だがメーター促しやライバルのフォーミュラカーであるフランチェスコ・ベルヌーイの挑発に乗り、マックィーンはアクセルロッド卿主催のワールドグランプリに出場することになった。
このレースはアクセルロッド卿が新エネルギーのアリノールの可能性を示すために開かれたものであり、出場するレースカーは全員アリノールを使うことが決められていた。だが、レース中に不測のアクシデントが続出する。
一方、イギリスの諜報員フィンマックミサイルとそのサポート役のホリー・シフトウェルは、ある調査のためメーター達がいる日本のパーティーに潜入していた。
メーターはフィンマックミサイルと敵との攻防に巻き込まれ、さらには2人の任務に協力することになるのだが……
スタッフ
監督:ジョン・ラセター、ブラッド・ルイス
脚本:ベン・クイーン
音楽:マイケル・ジアッキーノ
監督はピクサーではお馴染みのジョン・ラセター。音楽もピクサーにとってマイケル・ジアッキーノが担当しています。
「カーズ」の楽曲も素晴らしいものばかりでしたが、今作でもスパイ映画にピッタリなスリル満点な曲から、イタリアの優雅な都市を連想させる曲まで様々です。
特にフィンマックミサイルのテーマ曲といっても過言ではない「♪ててんてーん ててんてーん」のメロディは一度聞いたら頭から離れない人もいるのではないでしょうか。
キャスト
ライトニング・マックィーン :オーウェン・ウィルソン /土田大
メーター :ラリー・ザ・ケーブル・ガイ /山口智充
ホリー・シフトウェル :エミリー・モーティマー /朴璐美
マイルズ・アクセルロッド :エディ・イザード/ 落合弘治
フランチェスコ・ベルヌーイ: ジョン・タトゥーロ /宗矢樹頼
ザンダップ :トーマス・クレッチマン /青山穣
吹替版は旧キャラクターも続投したキャスト陣に加え、新キャラには豪華声優陣で固められています。
ちなみに他ピクサー作品だと 落合弘治さんは「トイ・ストーリー」のエイリアンとミスター・プリックルパンツ、「インサイド・ヘッド」のビビリ、青山穣さんは「モンスターズ・インク」のランドールも演じています。
感想・考察
今回の舞台はアメリカを飛び出して世界へ!特に日本に訪れるシーン
メーターの計らい?によってワールドグランプリに出場することになったマックィーン。
今回のレースは世界規模で開かれ、レースの場所は日本、フランス、イタリアとなっています。
マックィーン達が日本にやって来るシーンは、日本人のカーズファンならテンション上がること間違いなし!だってマックィーンが日本にいるんだもの!
ワクワクした顔でネオン街を歩いたり相撲を観戦する姿を見ていると、こっちまでテンションが上がります。
ピクサー史上最も迫力満載なアクションシーンが沢山!これぞ本物のカーチェイス
序盤のフィンマックミサイルと敵とのカーチェイスから始まり、日本で開かれたレースでの、空港での銃撃戦、ロンドンでのレースでロケットぶっ放して暴走するメーター…など今回は手に汗握るアクションシーンが盛りだくさんです。
これこそ本物のカーチェイスって感じがします!車本人が走ってますからね笑
フィンマックミサイルが最高すぎる
初登場となるキャラクター、フィンマックミサイルがかっこよすぎるんです。本当。
序盤の潜入捜査シーンでは、フックで船にこっそり、マグネット仕様になったタイヤで滑りあがります。
さらに追いかけてくる敵にはオイルや小型爆弾をお見舞いし、水上車になって逃げきろうとします。
爆弾を打たれても今度は水中使用になりダミーのタイヤを浮かべ死んだかの様に演出する…
もはや車なのか!?とつっこみたくなるぐらいのハイスペックカーです。
更には 飛行機や新幹線の知り合いがいたり、情報屋とも(「トンベは刑務所に入れられていたのを私が助けてやったんだ」とサラッと凄く気になる発言をしていた)…なかなかミステリアスなキャラクターです。
変わる必要はあるのか?
スパイアクション映画の印象が強い「カーズ2」ですが、実はマックィーンとメーターの友情が深まるストーリーにもなっています。
サリーに勧められ初めてレースにメーターを連れて来たマックィーンはこのような忠告をします。
「ここはラジエーター・スプリングスじゃない」
「いつもと違う場所に来たんだから君も、自分を少し変えてみたらどうだろう」
メーターはお調子者で思ったことをストレートに発言してしまいます。その正直すぎる性格は、マックィーンを時に困らせてしまいます。
ラジエーター・スプリングにいるときは今のメーターでもいいんです。周りの仲間達はメーターがどんな人物なのかを知っていますし、それを受け入れてくれています。
ですが、ラジエーター・スプリング以外の人達はどうでしょう。
初対面の人からしてみれば、メーターは空気の読めない浮いた奴で、隣にいるマックィーンまでが恥をかくはめになってしまいます。
(カーズ2苦手な人はメーターの行動や発言にイラっとしてしまう方が多いかもしれませんね笑)
だからマックィーンは、ありのままの君だとまずいから、もう少しその性格を直してくれないか、とメーターに釘を刺すような言葉を言ったんですかね。
ですが日本でのレースで、メーターの言動に振り回されたマックィーンはミスをして1位の座を奪われてしまいます。
大の負けず嫌いであるマックィーンはカンカンです。今まであれだけ勝利にこだわり続けてきましたからね。
そのままの君でいい
喧嘩別れした後、マックィーンはメーターの件で引きずります。かなり引きずります笑
最後のレース会場であるイタリアに来てもずっと浮かない顔をしています。
ルイジのおじさんに相談に乗ってもらったマックィーンは、親友と喧嘩して、そんな親友に君も変われと言ったことを打ち明けます。
その話を聞いておじさんは「だったら、どうして変われって言ったんだい?」と問いかけます・
マックィーンはありのままのメーターのことが好きになり親友になったはずです。だったら、親友に変わってもらう必要はあるのでしょうか。
一方メーターは、フィンマックミサイルに「君はあの恥ずかしいレッカー車を完璧に演じている」「皆騙されてることに気付かないんだ。君が、おかしすぎて」と言われ(本人はスパイとしての彼を誉めたつもりだった)落ち込んでしまいます。
その後もマックィーンを救うために頑張るわけですが、時折自信のないセリフを吐きます。
ですがありのままのメーターでいて欲しいと思うようになったマックィーンは、「ラジエーター・スプリングと同じ、そのまんまの君になれ」って言ってあげるわけなんですね。
「君は爆弾だ!それが言いたかったんだ!」というセリフには今でも引っかかっていて、どういうことだろなと見る度に考えるわけですが、要するにメーターはマックィーンにとっての起爆剤って意味なんですかねぇ。
ペッパー達の復讐
今回の事件の黒幕はアクセルロッド卿でしたね。アクセルロッドの本来の狙いは石油の価値を落とさないことでしたが、周りからバカにされ傷を負った欠陥車を手下に集めて上手く利用するんですよね。
このペッパー達の復讐心を燃やし、今回の計画を実行するわけです。
メーターがサラッといいこと言うんですよね。
「どんなに権力を持っても、お金持ちになっても、それで満足ってことないでしょ?」
確かにその通りだと思います(笑)人間なんて欲深い生き物ですからね。
メーター自身錆びついたレッカー車ですし、ペッパー側の存在でありペッパー達の気持ちも分かると思うんです。
ですが目先の欲望に左右されず、本当に大事なことは何かメーターは分かっているから言えたセリフなのかなぁ。
最後に
いかがでしたでしょうか。
「カーズ2」大肯定派による「カーズ2」の魅力、伝わっていれば幸いです(笑)
この映画はアクション映画やスパイ映画が好きな方にはもちろん、「自分は周りと変わっているかも」「私って変なのかな?」「今の自分じゃいけない気がする」と周りに馴染めず悩んでいる方にも見てほしい作品です。
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【ディズニー本レビュー】ピクサークロニクル全史:ピクサーの歴史がこの1冊に
そんな方にオススメしたい本、「ピクサークロニクル全史」をご紹介します!
概要
発売日:2019/7/26
ページ数:128ページ
「トイ・ストーリー」を始めとする、ピクサーの全作品について解説されています。
メインキャラクターから数秒しか登場しないマイナーキャラクターまでの紹介や映画の制作秘話など、ピクサーの全てが詰まったボリューム満点の1冊です。
これから、どんな内容が書かれているのかもう少し詳しく紹介します。
トイ・ストーリー4
トイ・ストーリー4に登場するキャラクターとあらすじが紹介されています。
既に映画を見た方は作品の振り返りに、まだの方は予習に是非読んでみてください。
続いて、キャラクターの誕生秘話や、製作陣のインタビューなどが載っています。
フォーキーとボーができるまで
トイ・ストーリー4における重要キャラクター2人の制作秘話について語られています。
フォーキーを手掛けたキャラクターアートデザイナーのアルバート・ロザーノ氏はこのように述べています。
「監督が、オモチャに属してないと考えるオモチャを思いついた」
「人は誰でも、「自分はなぜ生きているのか?」と思い悩むことがあるよね。使い捨てのフォークなら、そんな人生への問いかけもこめられると思った」
まさかフォーキーにこれほど深い意味が込められていたとは思いませんでした……
フォーキー制作にいたって、30~40人ものスタッフが沢山のフォーキーの見本となる物を作ったそうです。
大勢の大人が先割れスプーンとモールやアイスの棒等あり合わせの物で創作する姿は異様ですが楽しそうです。
スタッフが作ったフォーキー達は、ピクサー本社のショーケースに入れて飾られています。
そしてボー・ピープですが、スタッフはまずボーがトイ・ストーリーシリーズの中で出演しているシーンを全て見たそうです。
そしてボーのデザインについてですが「服を変えすぎると観客がボーだと認識できなくなる」という課題から「ドレスを用途に分けて使いまわせる」衣装の方向性に決まりました。
言われてみればボーの服装は1~3と「トイ・ストーリー4」では大きく変わってはいないのです。
ですが帽子を脱ぎふんわりスカートをマントに置き換えるだけで強くたくましい女性という印象を与えることができるんですね。
監督とプロデューサーが語る「トイ・ストーリー4」
「トイ・ストーリー4」の監督ジョシュ・クーリー氏と、プロデューサーの対談ページです。
監督は、なぜ「トイ・ストーリー4」なのか?という質問に対して「トイ・ストーリー3とあのEDは素晴らしい」と3部作のラストを称賛する中で「終わりはいつだって新しい始まり」「ウッディはこれからどんな経験をしていくのか」といった発想から物語を膨らませていったと語っています
監督のこのような思い・疑問から「トイ・ストーリー4」は生まれたんですね。
さらに「トイ・ストーリー」から始まるあらゆるピクサー作品に関わっているアンドリュー・スタントン氏は「3部作。これはウッディの新たな章」と述べていたそうです。
日本吹替キャストが語るウッディとバズ
日本語吹替版で声優を務めた唐沢寿明さんと所ジョージさんの対談の様子が紹介されています。
ウッディ役の唐沢さんは、作品とともにウッディ自身も成長していると語っています。
バズ役所ジョージさんは、「最初はキャラに寄せていった。けれど今はバズの映像を見ると「俺だ!」と思うようになった」と述べています。
25年間キャラクターと共に歩み続け、自分のように感じられていくって素敵ですね。
短編から長編
ここでは、「トイ・ストーリー」~「トイ・ストーリー4」までの21作品について解説されています。
他ではなかなか知りえない制作秘話が知れますよ。
例えば、
・ウッディが自己中心的な性格で共感を得られないという理由から制作が中断した
・モンスターズ・インク社の建物は60年代の建築という設定で、マサチューセッツ州の鉄鋼工場や自動車の組み立て工場等がモデルになった
・「ファインディング・ニモ」制作前に制作総指揮のジョン・ラセターは、スタッフ全員にスキューバダイビングの免許を取得して海に潜れと命令した
・「カーズ」にはミハエルシューマッハ等有名F1レーサーがカメオ出演していたり、キャラクターの声優を担当している
…等、この本を読まないと知ることが出来ない様な情報が盛りだくさんです!
キャラクター紹介のページも、「トイ・ストーリー」のシドが改造したおもちゃ、「モンスターズ・インク」に登場する怖がらせ屋、…など「え、このキャラ名前あったんだ!」と思わず驚いてしまうようなキャラクターまで名前付きで紹介されているのでファン必見です。
ピクサーとは
ピクサーは一番最初の作品「トイ・ストーリー」が大ヒットし、その後の作品もヒットを連発させていますが、決してサクセスストーリーを歩んだわけではありませんでした。
ここでは、ピクサーが設立してから現在にいたるまでのヒストリーが紹介されています。
ジョージ・ルーカス社のCG部門にいたピクサー創立にはアップル社のスティーブ・ジョブズが関わっていた等、知っているようで知らないピクサーの歴史が4ページにわたって解説されています。
他にも、ピクサーのイースターエッグを紹介した「ピクサートリビア」など、知ればもっと映画が楽しくなる情報が盛りだくさんです。
最後に
いかがでしたでしょうか?
この本を読んだ後にもう一度映画を見直してみれば、作品がもっと面白く感じられること間違いなしです。
ピクサー クロニクル全史 (DISNEY FAN MOOK) | ディズニーファン編集部 |本 | 通販 | Amazon
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ピクサーオタクが語る、ピクサー作品最新ラインナップ
先日、近年ディズニープラスにて配信予定であるディズニー作品のスケジュールが公開 されました。
その内容はとてもボリューム満点で充実したもので、ディズニー映画好きはSNS上でかなりの賑わいを見せていました。
今回はピクサー作品に焦点を当て、ピクサーオタクの筆者が配信予定の作品について語っていこうと思います!
Soul(邦題:ソウルフル・ワールド)
配信日:2020年12月25日
惜しくも劇場公開ならず、ディズニープラスにて独占配信する形となったソウルフル・ワールド。
音楽と魂の世界をテーマにした作品で、音楽と生死というワードだけ見ると2017年公開の「リメンバー・ミー」を思い出しますが、今作は生きる意味、生きる喜びを問う、人生の核心にせまった内容になっています。
監督はピクサー作品に初期から携わり続けているピート・ドクター。「カールじいさんの空飛ぶ家」「インサイド・ヘッド」といった涙無しでは見られない感動作の監督でもあるので、今回はどんな心揺さぶる物語になっているのか楽しみです。
Burrow(邦題:バロウ)
配信日:2020年12月25日
「ソウルフル・ワールド」と同時上映予定だった短編作品。2019年から始まった「 SparkShort」シリーズの最新作です。
主人公は1匹のウサギ。ピクサー短編で時々見かける2Dタッチの親しみがわくイラストですね。
監督はMadeline Sharafianという、1993年生まれの若き女性アーティストです。
Pixar Popcorn
配信日:2020年1月21日
ピクサーの新たな短編シリーズです。過去作品の人気キャラクターが登場すると聞いてワクワクが止まりません!
このシリーズのテーマは、ポップコーンのように軽く弾けて、年齢問わず楽しく見れるような作品であること。恐らく2~3分か4~5分のショートストーリーになるのではないでしょうか。
現在決まっているタイトルは以下の通りです。(()の中は長編タイトル)
・TO FITNESS AND BEYOND(トイ・ストーリー)
・CHORE DAY(Mr.インクレディブル)
・Dancing Cars(カーズ)
・A DAY of the LIFE of the Dead(リメンバー・ミー)
・COOKIE NUM NUM(Mr.インクレディブル)
・DORY FINDING(ファインディング・ニモ)
・FLUFFY STUFF WITH DUKKY&BUNNY(トイ・ストーリー)
・SOUL OF THE CITY(ソウルフル・ワールド)
気になるタイトルばかりですね!TO FITNESS AND BEYONDはバズが健康の彼方に向かうのでしょうか……
Mr.インクレディブルの短編タイトルがCOOKIE NUM NUMなのは最高です。インクレからは2つの短編が出るようですが、どちらもジャック・ジャックの活躍ぶりが見れることでしょう笑
最新作のソウルフル・ワールドの短編も早速あるので凄く楽しみです。
LUCA
公開日:2021年6月17日(米)/2021年7月2日(日)
ピクサー長編映画24作品目となるLucaは、イタリアのリヴィエラを舞台とした物語です。
主人公のルカと親友のアルベルトによる友情を描いた内容になっています。けれど、親友には隠しているある秘密を持っているようで……
現在Youtubeで20秒あまりのトレイラーを見ることができます。
監督を務めるのはエンリコ・カサローサ。ピクサー短編作品「月と少年」の監督でもあり、今回が長編作品初監督となります。
「月と少年」ではパステルカラーの色彩を用いてファンタジー溢れる世界観と、心温まる家族の様子を描いていました。
今回の舞台であるイタリアは監督の出身地でもあります。イタリアに広がる美しい海を舞台に、主人公達がどんな体験をするのか楽しみです!
現時点では劇場公開を予定していますが、最近のディズニーの様子を見るとどうなることやら……
DUG DAYS
配信予定日:2021年秋
「カールじいさんの空飛ぶ家」で大活躍した犬のダグによる新シリーズがスタートします!!
ダグ出世したな……おめでとう……
このシリーズでは子犬や花火等様々な危険を発見していく内容になっています。
映画の主人公であるカールじいさんも登場するようなので楽しみです。
ラッセルやケヴィン、アルファ等チャールズ・マンツの犬達も出番があるのでしょうか?来年の秋が待ち遠しいです。
TURNING RED
公開予定日:2022年3月11日
ピクサー長編映画25作品目となるTurning Red。監督は、アカデミー賞を受賞したピクサー短編「バオ」の監督であるドミー・シー。
主人公はティーンエイジャーの少女で、気持ちが高ぶり興奮するとレッサーパンダに変身してしまうそうです。
なんだかピクサーっぽくないイラストと内容なので不安でいっぱいなのですが笑、詳細を待つとしましょう。
Lightyear
公開日:2022年6月17日
写真とタイトルでお察しの方もいると思いますが、「トイ・ストーリー」の大人気キャラクター・バズ・ライトイヤーが再びスクリーンにやってきます!
厳密にはバズではなく、オモチャのバズの基となった人間のバズ・ライトイヤーが主人公のようです。
今回バズ・ライトイヤーの声を務めるのは、キャプテン・アメリカのクリス・エヴァンスです。聞き馴染みのあるティム・アレンのバズが大好きなのはもちろんですが、クリス・エヴァンスが演じるバズもどんな雰囲気になるのか楽しみです。
今作の監督はアンガス・マクレーン。「ニセものバズがやってきた」「トイ・ストーリー・オブ・テラー!」で監督を務める等、トイ・ストーリーシリーズに深く携わっています。
スピンオフ感満載なので最初短編作かと思いましたが、れっきとしたピクサー長編映画の26作品目なんです。
Blasting into theaters June 17, 2022, Lightyear is the definitive story of the original Buzz Lightyear. Voiced by @ChrisEvans, get ready to go to “infinity and beyond” with Lightyear. 🚀 👨🚀 pic.twitter.com/LdYXlN33sP
— Pixar (@Pixar) 2020年12月11日
Cars
配信予定日:2022年秋
「カーズ」シリーズの主人公、マックィーンとメーターが世界を旅する新シリーズです。
お馴染みのキャラクターはもちろん新キャラクターも登場するようなので楽しみです!
マックィーン達がどんなロードトリップを繰り広げるのか、今からワクワクが止まりません。
Win or Lose
配信予定日:2023年秋
詳細は不明ですが、ピクサー初の長編アニメシリーズのようです。
中学のソフトボールチームの異なるメンバーが、各エピソードの主人公として登場する形になると思われます。
最後に
いかがでしたでしょうか。
これからも1年に1~2回のペースで新作をおろし、さらにはシリーズ物にも挑戦し続けるピクサーからは目が離せませんね!
映画「ムーラン」(2020)感想・考察:ムーランかっこいい!けどディズニーでやる意味は無いのでは?
今回は、実写版の「ムーラン」についてお話していこうと思います。
当初は劇場公開される予定でしたが幾度も延期を繰り返し、最終的には2020年9月4日に「Disney+(ディズニープラス)」にてプレミア配信されました。
制作中の間から事あるごとにブーイングを受け、公開時も様々な界隈から批判が殺到している何とも可哀そうな映画です。キャストとスタッフのことを考えるといたたまれない気分になります……こんなにも不憫な映画、他にあるんでしょうか?笑
12月4日には見放題枠で配信スタートしたので、これを機に鑑賞してみました。
概要
原題/邦題:Mulan/ムーラン
公開日:2020年9月4日
上映時間:115分
あらすじ
中国はボーリー・カーン率いる軍隊に攻め入られ、いくつもの国を陥落させられていた。都を守るために皇帝は、一家から一人男を招集し、最強の軍隊を作り上げろと命令した。
主人公・ファ・ムーランの家には息子はいなく男は父親のズーのみだった。命令に従いズーは招集状を受け取るが、身体は大分弱っていた。
ムーランは愛する家族を守るため、男に扮して兵士に交じり、戦いに挑むーー。
スタッフ
監督: ニキ・カーロ
脚本:エリザベス・マーティン、ローレン・ハイネック、リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー
今作では、ニキ・カーロという女性の監督がメガホンをとっています。
そして、「ジュラシックワールド」の脚本リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー
が再びコンビを組んでいます。
キャスト
ムーラン:リウ・イーフェイ/明日海りお
タン司令官:ドニー・イェン/井上和彦
ホンフイ:ヨソン・アン/細谷佳正
ボーリー・カーン:ジェイソン・スコット・リー/咲野俊介
実写版ではアジア系の俳優で固めているようですね(海外の俳優について本当詳しくないので薄っぺらいことしか言えませんが……)
日本語吹替版のムーランは、宝塚歌劇団出身の女優、明日海りおさんが担当されています。歌唱力が素晴らしいですね。
感想・考察
「ディズニーのムーラン」というより「木蘭」を題材にした映画
ムーランを見終わってまず思ったのが、「これディズニーでやらなくでやらなくてよくね?」
ディズニーのムーランは中国で語り継がれている物語上の女性主人公をモチーフに描かれた作品ですよね。実写版ムーランも、家族のために戦う女戦士が主人公です。
なので「木蘭の実写映画」とは呼べますが、「ディズニーのムーランの実写映画」とは呼べないと思います。
だってアニメ要素全然無いんですもの。個人的にアニメ版ムーランのサブキャラが大好きなのですが、実写版ではムーシューもクリキーもリーシャンもシャンユーも出てきませんからね。
なのに何故かヤオ、ポー、リンだけ登場するのが不思議で笑っちゃうんですけどねぇ。といっても彼らは名前が与えられたモブキャラに過ぎない活躍でしたが……
ディズニーから名曲「リフレクション」を借りただけでは?と思ってしまいます笑
強き美しきムーラン
この映画の最大であり唯一(?)の魅力は、ムーランかっこいいね強いねってところではないでしょうか。
小さい時から木の棒をぶんぶん振り回し、成長しても周りは構わず鶏を追いかけまわすようなやんちゃ少女です。
周りからは変人扱いされ、親族からも手に負えない娘扱いされてますが、お見合いの時にギャーギャー喚いてめちゃくちゃにしたのは妹とオバハンやんけ……と思ってしまいました。
クモが苦手な妹が騒がないよう急須で隠してあげ、宙を舞う急須と茶器を見事キャッチしてるムーランの方が偉いですよね。
兵士に紛れて訓練に励む際も、男子顔負けの身体能力を見せ隊長からも一目置かれます。
ラストのボーリー・カーンとのアクションシーンも見事でした。
結局魔女は何がしたかったんだ
実写版オリジナルキャラクターのシェンニャン。彼女はハヤブサに化けたりと特殊な力が使える魔女です。
ボーリー・カーン側についてるようですが反抗的な部分も見せているので、100%敵の味方ではないんだろうなぁとぼんやり思っていました。
敵陣との決戦の日にシェンニャンはムーランの前に颯爽と現れ、彼女の嘘を見破ります。
そしてムーランに「嘘がお前を弱くする」と言い残し去って行きます。
シェンニャンの言葉を真に受けたのか何なのか、ムーランはあっさり正体をばらし自爆します。そりゃそうですよね。
追放され一人涙を流すムーランのところに現れて「私が国を追い出された時も少女だった」と自分語りを始めますが、ムーランに自爆させるよう仕向けといて何がしたかったんでしょうかね。彼女にも闇落ちしてほしかったんですかね。
最後はあっさりとボーリー・カーンを裏切って皇帝の所にまで案内し、更にはムーランを庇って死ぬというあっけない最期を迎えました。
予告では敵か味方か?みたいな紹介されてたと思いますが、本当に敵なのか味方なのかよく分からないまま終わってしまいました。
皇帝とボーリー・カーンの関係
皇帝とボーリー・カーンには因縁があるようで、敵陣が都に攻め込んできたと知った皇帝は「カーンにとどめを刺す」と言い自ら敵に立ち向かいます。
ですがまんまと捕まってしまうのですが、ボーリー・カーンは皇帝にこんな言葉を投げるんですね。
「俺の父の怨念を知れ」
「皇帝の子どもはどこだ?俺達の剣に刺されたんだ」(このセリフうろ覚え)
このセリフをまんま解釈すると
ボーリー・カーンの父→皇帝側に殺された
皇帝の子ども→ボーリー・カーン側に殺された
ということでいいんですかね?
だとしたらどっこいどっこいじゃないですか(恨みは消えないでしょうがね)
この展開あまりにも急だったんで、もう少し伏線が欲しかったなぁなんて思いました。
不死鳥の存在
ムーランを見守る象徴として描かれている不死鳥。
不死鳥が登場するシーンってこのあたりでしたよね。
・ムーランが家を出て軍隊の所に向かう
・シェンニャンに手裏剣?を投げられ気を失ったムーランが目覚める
・軍を追放されて泣いてるムーランとシェンニャンが語り掛けるシーン
・軍に戻ったムーランが都まで向かう
他にもあったと思いますが、忠義、勇気、真実、という3つの徳に関連する出来事があったときに現れてる印象があります。
ですがこの不死鳥も、なんだか存在感あるような無いような感じですよね……
最後に
作品としても消化不良な部分が残るムーラン。ディズニーでやる意味は無かったのでは?と思ってしまいました。
ディズニーという看板を背負ってやるなら、「美女と野獣」や「アラジン」のようなアニメのストーリーと近い内容がよかったですね。
実写版ムーシューとクリキー、見てみたかったなぁ……
映画「クロース」感想・考察:ある1通の手紙から始まった、サンタクロースの誕生秘話
今回は映画「クロース」についてお話していこうと思います。
サンタクロースはなぜ贈り物を始めたの?なぜ沢山オモチャを持っているの?世界中にその存在を知られていながらも謎多きサンタクロースの誕生を、独特の視点から描いた心温まる物語です。
タイトルを聞いたことがない方もいるかもしれませんが、この作品はNetflixにて限定公開されている映画で、スクリーン上映はされていないんです。
ですが作品のクオリティはそこらの映画顔負けと言っていいほどで、第73回英国アカデミー賞アニメ映画賞受賞、さらには第47回アニー賞ではディズニー映画「アナと雪の女王2」「トイ・ストーリー4」を差し置いて、アニメーション作品賞を含む最多7部門で最優秀賞を受賞する等、世界規模で太鼓判を押されています。
概要
原題/邦題:Klaus/クロース
公開日:2019年11月15日
上映時間:98分
あらすじ
郵便局長の息子のジェスパーは、真面目に働く気が無く職場をサボってはクビになり、贅沢な暮らしを楽しんでいた。
そんな息子を見兼ねた父親は、ジェスパーを遠い遠い北極圏近くにあるスミレンズブルクという町の郵便局員に命じる。更には、郵便物を6000通配達し終えるまで帰って来てはならないと言い渡した。
嫌々ながらも海を渡り、スミレンズブルクにやって来たジェスパー。陽気な船乗りの言われたままに町の鐘を鳴らすと、武器を持った住人が一斉に飛び出して来て喧嘩を始めた。
ここスミレンズブルクは、クリム族とエリングボー族が代々憎しみ合ってきた、争いの絶えない町だったーー。
スタッフ
監督:セルジオ・パブロス
脚本:セルジオ・パブロス
監督を務めるのは、イルミネーション作品「怪盗グルーの月泥棒」の原案を担当した
セルジオ・パブロスです。
キャスト
ジェスパー:ジェイソン・シュワルツマン(吹替:内山昂輝)
クロース:J・K・シモンズ(吹替:玄田哲章)
アルバ:ラシダ・ジョーンズ(吹替:中村千絵)
モーゲンス:ノーム・マクドナルド(吹替:斉藤次郎)
ジェスパーの声を務めるのはコメディ俳優のジェイソン・シュワルツマンです。
吹替は「ソウル・イーター」や「ハイキュー」等人気作品に多数出演している内山昂輝さんです。
クロースの声はJ・K・シモンズが担当しています。アニメーション映画の声優としても活躍していて、「ズートピア」のライオンハート市長、「カンフー・パンダ3」のカイ等も演じています。
吹替をされているのはベテラン声優の玄田哲章さんです。出演作品をあげたらキリがありませんが、同じアニメーション映画だと「くまのプーさん」のティガーでの声が特に聞き馴染みがあるのではないでしょうか。
感想・考察
サンタクロースの始まり
この作品に登場する、サンタクロースの始まりとなる存在のクロースですが、正体は普通の人間で、大柄な髭を生やした木こりです。
クロースには悲しい過去がありました。彼にはリディアという名前の妻がいました。子どもが沢山欲しかった二人はオモチャを作って待っていましたが、子どもに恵まれませんでした。それから妻は病気になり、この世を去ってしまいました。
サンタクロースを題材とした作品は山ほど溢れていますが、サンタクロースを実寸大の人間として描き、更にはここまで人間味溢れ感情移入できる様なキャラクターに仕上げているのは凄いなと思いました。
クロースが元々サンタクロースなのではなく、人間であるクロースが、物語を通じて本物のサンタクロースの様な存在になっていくのです。
所々にサンタクロースに要素が散りばめられているのがまた面白いです。
例えば、クロースの笑い声が「ホーホーホーゥ」だったり(ジェスパーからは変な笑い方って言われます)、子どもにプレゼントを持って行く際煙突から入れと命令したり。トナカイの手名付け方も見事です。
だらしないボンボン主人公、ジェスパーの成長
ジェスパーは最初、自堕落な金持ちの暮らしに甘んじているボンボン息子として描かれています。シルクが恋しいだのクルトンが無いだの我儘言ってばかりです(シルクに関しては最後の方にも言ってて笑ってしまいました)。
父親にほぼ勘当のような形でスミレンズブルクに行くことになるわけですが、意外と根性あるなぁと思います。
ズルをせず何とか手紙を集めようと必死に奮闘しますし、1軒1軒のポストを周ったり歩いている人に直接手紙をねだってみたり。
まぁその努力は水の泡となってしまうのですが……
地図は×だらけになり手紙を集める目途が立たず途方に暮れていた時も、町の外れにある木こりが住む一軒家のために、馬を引きながら向かいますからね。あの時のジェスパーにとっては唯一の頼みの綱に思えたのかもしれません。
クロースの指示にもちゃんと従いますからね。怖い番犬に襲われそうになったり、鶏に追いかけられたり、身体に暖炉の火がついてもクロースの指示通り煙突の上からプレゼントを届けます。結構体張ってますよね(笑)
オモチャが欲しい子どもを利用して手紙を集め始めるのですが、この手紙回収シーンがやけにかっこよくて好きです。
ジェスパーの行動は子ども達、そして周りの大人たちの行動を変えていきます。
そしてジェスパー自身も成長していくのです。
サンタクロースは言葉の壁を超える
今作品で印象的なのは、サーミ族の少女、マルグの存在です。
彼女はよそからやって来た女の子で、言語もスミレンズブルクの人達やジェスパーとは違く、何を話しているのか分かりません。ここで言葉の壁という障害が発生します。
字が書けない=手紙が書けないから最初相手にしなかったジェスパーですが、あまりにも根気強く家に来るのでアルバの学校で字を教え手紙を書かせてあげます。
プレセントをそっと置きに行くジェスパーとクロース。そりに乗ってはしゃぐマルグを遠くから見た二人は、心の底から笑顔を見せます。
サンタクロースは世界中を飛び回る全国共通の存在ですが、マルグやサーミ族の存在を通じて、サンタクロースって言葉の壁を超える存在なんだなぁと思わせてくれます。
欲の無い行いは、人の心を動かす
「欲の無い行いは人の心を動かす」妻がよく言っていた言葉を受け売りにしているクロース。
この物語は、欲の無い行いによって人々の行動が変わっていきます。
クロースは、オモチャを貰った子どもの笑顔に感動し、長年封印していたオモチャ作りを始めてプレゼント配りを始めます。
アルバは教師になったもののここでは誰も教育を求めておらず、町を出るために必死にお金を貯めていました。ですが、自分の字が書けることに興奮を覚え「もっと教えて!」とせがむ子ども達に胸を打たれ、貯金を使い果たして子ども達のために教材等を買っていきます。
恐らく、というか確実に給料は払われていないでしょう。ですがアルバの表情は魚売りをしていた時に比べてとてもイキイキとしています。
サーミ族の人々は、子どもにソリをくれたことに感謝し無償でクロースの工場でオモチャ作りを手伝いします。
まさに欲の無い行いこそが、人の心を動かしているのです。
だからこそジェスパーは立場が無いですよね。だって自分は、早く郵便物を集めて元の贅沢な暮らしに戻るためにプレゼント配りを始めたわけですから。
自分の本当の目的がバレてしまい、ジェスパーは皆から失望されてしまいます。
罪悪感を覚えたジェスパーは、前の家に戻る船から自ら降りて、クロース達の元に戻ろうとします。
ちょうどその時、元の古き伝統を取り戻そうと手を組んだクラム族とエリングバー族がオモチャを狙いにやってきていて、危機を感じたジェスパーは命がけでオモチャを守ろうとするのです。
ジェスパー達を追いかける際、対立していた崖から、クラム族とエリングバー族の子どもは、崖から落ちそうになったのを咄嗟に助けたことによって恋心が芽生えます。
「欲の無い行いが人の心を動かす」というのは作品全体のテーマにもなっており、登場人物の欲の無い行いの連鎖によって、物語が展開していくところが、この作品の特徴です。
クロースはどこに消えた?
ジェスパーがクロースと共にクリスマスのプレゼント配りを始めてから年月が経ったある日。
揺らめく風と雪を感じたクロースは「迎えに来たのか」と呟きます。
そして、持っていた斧を置き、ふわっとどこかに消えてしまいました。
クロースがどこに消えたのかは誰も知りません。
けれでもジェスパーには分かっているのです。
彼が、毎年のクリスマスに現れて子ども達にプレゼントを配っていることを。
だからジェスパーは、二人分のミルクとクッキーを用意して、赤い恰好をした友人を静かに待つのです。
最後に
とある欲のない行いで子ども達にオモチャを配り始めた一人の木こりがサンタクロースの始まりだったとしたら、凄く素敵だなぁと思いました。
心が暖かくなる、誰かに優しくなれる作品です。
「ジ・アート・オブ・リメンバー・ミー」から読み取る「リメンバー・ミー」の制作秘話
今回は作品のコンセプトアートが詰まった本、「ジ・アート・オブ・リメンバー・ミー」の内容について触れたいと思います。
素敵なアートだけではなく、「リメンバー・ミー」の制作秘話についても語られているので、これを知れば「リメンバー・ミー」がもっと面白くなること間違いなしです!
キャラクター
ミゲル
共同監督、脚本を務めたエイドリアン・モリーナ曰く、人は映画を見るときスクリーンに映った人物と自分を重ね合わせようとするそうです。
ミゲルのデザインを考案中、痩せたメキシコ人の少年がこちらを見て笑みを浮かべているイラストを目にしたとき、ミゲルを見た子供に「あれ、僕みたいな子の話だ。僕の物語は、こんな風に語られる価値があるんだ。僕の経験は、人に聞かせる価値があるんだ」と思ってもらえる場面が目に浮かんだとのことです。
確かにミゲルは黒髪に丸い瞳に細い体つきをしていて、元気に走り回っている姿はどんな町でも見かけそうな少年そのものです。
ミゲルを見た子どもに親近感を持ってもらえるキャラクター作りが心がけられていたんですね。
ヘクター
「リメンバー・ミー」の死後の世界に生きる人達は、人に思い出してもらうと特別なエネルギーに満ちて、骨と骨がしっかち繋ぎ合わさるという設定になっています。
ヘクターのことを現世で覚えているのは、ママココだけです。あまり思い出してもらえないヘクターは、他のガイコツと比べて骨と骨が少しスカスカになっています。
また、ヘクターのカタカタした動きは、操り人形を参考にしたそうです。
リヴェラ家の人々
生きているリヴェラ一家の人々は、魅力的かつ現実味がある人物像にするよう心掛けたそうです。
ミゲルの家は、母、父、お婆ちゃん、ひいひいお婆ちゃん、おじさん、おばさん、従妹……と大家族です。
ですが、皆さんの家族に一人はこの中の誰かがいるのではないでしょうか。
家族が多いという設定も、この映画を見た人の大半が自分の家族のことが思い浮かべられるようにするためなのかもしれませんね。
ダンテ
ミゲルが可愛がっている犬のダンテは、ショロイツクインツレ、通称シェロ犬と呼ばれるメキシコ生まれの犬種です。
古代では、シェロ犬は死者を死後の世界へと導いてくれると信じられていたそうです。
「リメンバー・ミー」では少し頼りない印象のダンテですが、、結果として死後の世界にやってきたミゲルの手助けをするガイドとしての役割を果たしています。
エルネスト・デラクルス
デラクルスの見た目は、映画スターの様な容貌かつ完璧なエンターテイナーにしたかったそうです。
そのため、メキシコの昔の大スターかた最近の歌手まで様々な人物を参考にし、今のデラクルスが完成しました。
また、観客やミゲルが心から信頼できるように、優しいおじいちゃんのような印象を与えるようにもしたとのことです。
ガイコツたち
死者の国で暮らすガイコツ達は、表情豊かでありながら骨っぽさを残したかったそうです。
そのために、以下の様な工夫が施されたそうです。
・眼窩の形は変える
・鼻、頬骨、頭蓋骨はカッチリと描く
・唇を作った
・口の線を左右に大きく広げた
顔のパーツごとに細かい演出があったんですね。
場所
サンタセシリア
ミゲルが生まれ育った町、サンタセシリア。
ここはあえて、死者の国とは正反対になるよう設計されたそうです。
例えば、建物の高さは低くこぢんまりとした街並みをしています。
何もかも対照的に作られていて、だからこそ死者の国のきらびやかさが一層引き立つんですね。
ちなみに、サンタセシリアという名前は、音楽の守護聖人の名前から付けられています。
死者の国
死者の国のデザインをどうするかアイデアを出し合っていく中で、ファンタジーに満ちて壮大なイメージがある一方で、見慣れたメキシコの村のような雰囲気も出したかった、と照明研究アーティストのエルネスト・ネメシオは語ります。
「リメンバー・ミー」の死者の世界はきらびやかな光に包まれていて一見現実離れした世界のように見えますが、一つ一つの建物や周りの物はリアルで、等身大の古き良き街並みを思わせます。
祭壇
今作のキーポイントとなる祭壇。
祭壇はスペイン語でオフレンダと呼ばれています。故人との思いを家族と共有し、心通わせる場所なんだそうです。
祭壇には個人が生前好きだった物に加え、香ばしい匂いを放つマリーゴールドが添えられます。
死者はこのマリーゴールドの香りに誘われて、家族の元に帰ってくると信じられているそうです。
だから「リメンバー・ミー」の現実世界と死者の国を結ぶ橋はマリーゴールドで出来ているんですね。
墓地
墓地と聞くと殺風景で少し不気味な印象を持たれるかもしれませんが、メキシコにとっての墓地は、思い出が眠る場所、悲しみから喜びを生み出す場所なんだそうです。
なので墓地の周りには色とりどりの花やキャンドルが添えられています。
もし何も飾られていない墓があれば、それを見つけた別の家族がきれいにしてあげて、どんな魂も忘れられないよう心配りをしてあげるらしいです。素敵な習慣ですね。
その他
最後の死
メキシコでは、人は三回死ぬと信じられています。一回目は通常の死。二回目は、埋葬されたとき。そして三回目は、その人のことを覚えている人間が皆死に、死者の記憶が生者の記憶から消えた時です。
最後の死という概念に影響を受け、スタッフ達はこれをストーリーに組み込もうと決めたとのことです。
囚われて
デラクルスの秘密を知り、深い洞穴に閉じ込められてしまったミゲルとヘクター。
ここでは高めのハイコントラスト、柔らかい空気感を出したかったそうです。
色とりどりの死者の世界と比べてこのシーンは色彩が少なく、上から差し込む光のコントラストが強く感じます。
また、背景がシンプルだからこそ、ミゲルとヘクターにより焦点が向かいやすくなり、
ココに捧げる歌
音楽と思い出が繋ぎ合わさるラストシーン。ここでスタッフ達は、ミゲルに家族の前で歌うことを予定していたそうです。
音楽と記憶についてリサーチした結果、音楽には記憶を呼び起こす力があり認知症の治療にも使われていることが判明しました。
そのことから、映画のあのラストシーンが完成したんですね。
最後に
いかがでしたでしょうか?
映画を作ったアニメーター達の思いを知ると、より一層映画が味わい深くなりますね。
あのボス・ベイビーが大人になって帰ってくる!「Boss Baby 2: Family Business」米2021年公開
「ボス・ベイビー」の続編、「Boss Baby 2: Family Business」(原題)の公開日が正式に発表されました!
映画の詳細
タイトル(原題/邦題):Boss Baby 2: Family Business/ボス・ベイビー:ファミリーミッション
公開日(米/日):2021年3月26日/2021年
ティムとテッドが大人になって帰ってくる!
「ボス・ベイビー」ではティムは7歳の子どもで、テッドは赤ちゃんでしたが、続編では2人は成長し大人になっています。
ティムは結婚し2人の娘に恵まれ、テッドは投資会社のCEOに就任していました。テッド流石すぎます。赤ちゃんの時点でビジネスマン根性を持ったテッドらしいキャリアですね。
長女のタビサは天才娘でテッドに憧れを抱くようですが、父親のティムは普通の子ども時代を失っているのでは?と心配しているそうです。
家族を知らずビジネスマンとして生きてきた弟を持ったティムだからこそ、子どもには子どもらしい経験をしてほしいのかもしれませんね。
2人は疎遠となっていましたが再会し、新たなボスベイビーと共にファミリーミッションに挑むストーリーのようです。
ニュー・ボスベイビー登場!
ティム達が授かった2人娘の妹の正体は、ベイビー・スコープから派遣されたエージェントだったということが明らかになります。
そのボス・ベイビーの名前はティナ。
ティナによると、悪の天才がベイビー達に悪を教えているそうで、ボス・ベイビーとしての任務を果たすべく派遣されてきたとのこと。この悪事にはタビサが通う学校も関係があるみたいで……?
海外予告編が公開
Youtube等で「Boss Baby 2: Family Business」の予告を見ることができます。
成長したティムとテッドのビジュアル公開に思わずテンションが上がってしまいます!
見た目はキュートなティナもどんな活躍を見せるのか楽しみです。
アメリカ版声優には豪華なキャスト陣が!日本語版もあの人の続投が決定
前作でも声優を務めたアレック・ ボールドウィン等に加え、新キャストが発表されました。
大人になったティムの声はジェームス・マースデン、新たなボス・ベイビーのティナの声はエイミー・セダリスと、豪華声優陣が勢揃い!
日本語吹替版は、前作でもテッドの声を担当したムロツヨシさんの続投が決定しています。
新キャラの声優は誰になるのか楽しみですね!
日本での上映はいつ?
日本での公開が決定されてとりあえず一安心ですが、正式な公開日は未定のようです。
ちなみにですが、同じくドリーム・ワークスで最近公開された映画「トロールズ・ミュージック☆パワー」はアメリカが2020年4月10日、日本では同年10月2日に公開されました。
ディズニーの感覚が染みついている筆者なのですが、調べてみるとドリーム・ワークスってアメリカと日本での公開日の差が大きいんですね……
まぁ6年ぐらいスクリーン上映しなかった空白の期間を経て現在に至っているわけなので、上映するだけでもありがたいと思わなければですね(笑)
今回も面白い展開を見せてくれそうなボス・ベイビー続編。日本での情報を気長に待つとしましょう。